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謀略

「下山事件」の現場
松川事件・列車転覆現場(毎日新聞社提供)

(写真・・・・・下山事件(上)と松川事件現場)
以下の文章は3月27日に外部サイトに投稿したものを、再たび当サイトに投稿した次第である。


戦後における、下山・三鷹・松川事件。戦後3大ミステリー事件と呼ばれているが、しかしこれは戦後の暗闇時代において、占領軍が画策した謀略事件であり、それは用意・周到に実行されたものである

まず事件当時の時代背景はどういう状況だったのか、それから述べてみたい。

戦後1946年、日本が敗北したあとの、中国において国共合作が崩壊し内戦が勃発する。当初は国民党軍が優勢であったが次第に共産党軍が巻き返し、形勢は逆転。共産党軍が全土を掌握し、国民党軍は台湾に落ちる。そして、1949年10月「中華人民共和国」が成立する。

一方、太平洋戦争の終結によって朝鮮は日本から解放される。だが、北からソ連軍、南から米軍が進行、朝鮮半島は南北に分断された。しかし、南では統一と人民政府の樹立を目指す民衆蜂起が起き、革命前夜の如き様相を呈していった。

また、日本においても「日本労働組合産別会議」略して産別会議(日共系による全国最大の労働組合組織)闘争の激烈化と国会選挙での共産党の躍進によって社共人民政府樹立が模索され、巷では「9月革命」がまことしやかに、囁かれはじめた。

これの動きは、アメリカ政府及び日本を支配していた占領軍を震撼させるに十分であった。すなわち、北東アジアにおける反共北東アジア戦略を構築しようとするアメリカの目論見が水泡に帰すからだ。

1949年、アメリカは日本経済の後進性に大ナタを入れるべく「ドッジライン」を強行。その中には国鉄労働者の大量解雇計画が含まれていた。この計画に国鉄労組は猛反発し、国内は騒然となっていった。

丁度、そのような時期に「下山事件」は起きた。1949年7月5日、常磐線北千住〜綾瀬間の線路上に下山国鉄総裁が轢死体となって発見される。結果、この事件の顛末は下山総裁の自殺ということで片付けられてしまうのだが、発見された当時の、死体状況や解剖結果に重要な疑念を生じさせるデータが浮上。このへんについては、松本清張の『日本の黒い霧』(文春文庫)に詳しく記述されている。松本清張は占領軍による謀殺をを主張している。氏によると、当時の占領軍にはCIC(軍諜報組織)とG2(情報・謀略担当の参謀2部)があって、日本国内などで諜報活動を行なっていたと言う。

彼らは占領軍は、産別会議の拠点である国鉄労組の解体と国鉄労働者の大量解雇を円滑に執行させることを狙っていたに違いないと、松本清張は記している。事実、この後述べる松川事件等以後、大した抵抗もなく大量解雇計画は進行していくことになる。

1949年8月17日未明、福島県東北本線福島〜松川間において、列車が転覆するという事件が勃発。転覆の原因は線路と枕木を固定しているボルトが外されてのものだった。

翌18日、増田官房長官は「左翼勢力によるもの」との談話を発表。未だ犯人も特定されていないにも、拘わらずにだ。この発言はその後メディアによって一気に、共産党犯行説というフレームアップに繋がっていった。

9月に入ると、国鉄労組福島と東芝労組松川の共産党員組合員が検挙・起訴された。ここで東芝労組にも触れておく。東芝労組は国鉄労組と並んで産別会議の拠点といわれ、戦後革命運動の一大勢力であった。

警察は拷問などの手段を使って「自白調書」を作成。一審では死刑を含む全員有罪判決。二審も有罪だっった。後年、最高裁によって高裁差し戻し➡無罪判決が言い渡されるが、被告たちと民主主義運動にとって、あまりにも失ったものは大きかった。

この事件は占領軍による謀略であることは間違いない。何ひとつ物的証拠のない自白のみによるものだったからだ。

これらの事件を契機に占領軍と政府は、翌年6月25日の朝鮮戦争開始と同時に、共産党・産別会議・在日朝鮮人連盟等の解散・追放を強行。これによって戦後革命のエネルギーは鎮火、封殺されていく。「共産党と産別会議による犯行」という謀略はものの見事に功を奏した。ここにおいて、米政府と占領軍が目論んでいた日本の反共基地化は完成。以後、保守による単独永久政権化が図られて行った。

そして、朝鮮、仁川に上陸した米軍は南で活動していた北朝鮮軍兵士と市民を大量虐殺。統一に燃えていた朝鮮半島人民の期待は粉砕されたのである。

ここにあらためて、権力による謀略の恐ろしさを見る思いがする。権力に危機が生じたとき、国民の知らない間に謀略のシナリオが用意され、実行されるということを私たちは忘れてはいけないだろう。

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